忍者ブログ

女声を頭で考える。

感覚で習得すべきものを敢えて頭で考えてみます。とか言いつつただの戯言だったりします。

2025/04    03« 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  »05
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

昔どこかのサイトにあったメラニー法の訳文サイトが消えていたのでここに。
その内編集します。
また、英文の訳文というものは、翻訳される方によっても意味合いの捉え方等が違ってくるので、
他の方の訳文も閲覧する事をお勧めします。

原文のサイトはこちら


■その他の翻訳サイト様
※サイト名不明
 
 
------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
■はじめに
いくら外見が女らしく見えても、それにふさわしくない声を出していれば、
あなたはたちどころにリードされてしまうでしょう。
MtFのトランスジェンダーたちはたいてい、とてもきれいに着飾っていて、
まるで女神のように見えます・・・彼女たちが口を開くまでは。
その美しい容貌にもかかわらず、彼女たちは突如としてあなたの目の前で
トラックの運転手や土方の作業員に変わってしまいます。
服装は女性なのに、声は男性なのです。
 
あなたがMtFのトランスヴェスタイトやトランスセクシャルなら、
本当の女性の声(単なる女性的な声ではなく)を「開発」することは最大の興味の対象でしょう。
私がトランスを始めたとき、体毛の永久脱毛などのことも心配でしたが、
しかし私にとっての最大の障害は声の問題でした。
 
 
 
他の多くの人たちと同じように、私は単純に自分の声を女らしくしようとし、
声をやわらかくしようとしました。
意図的に声を高くしようとして、その結果出る声は女らしい声というよりは、
テレビに出てくるステレオタイプ的なオカマが出すようなひどい裏声になってしまいました。
ついには最後の手段として、声の手術まで考えるようになっていました。
 
しかし声の手術を受けることはとても不安でした。
私の歌声は我ながらいいと思えるものでしたし、声のモノマネをするのが好きでよくやっていました。
話すととても印象的に聞こえる自分の声が気に入っていました。
声の手術の結果がほとんど満足できるものではないということは知っていましたし、中には手術の
結果、完全に声を失ってしまった例もあるという怖い話も聞いていました。
でも、何か言葉を口にするたびにリードされてしまうのではないかという不安は、
声の手術をためらう私の気持ちをぐらつかせるのに十分でした。
 
 
 
危険を冒してまで手術を受けることをあきらめかけていたとき
(そのとき私はフルタイムに入って数ヶ月がたっていました)、
全くの偶然に、私の人生をすべて変えてしまうような出来事が起きました。
女性の声を出すことを学んだのです。
 
注意してほしいのは、私が「女性のように話す」ではなく、「女性の声を出す」と言ったことです。
これは私が発見した秘訣がしゃべる方法ではなく、声を出す方法だからです。
私はその日、いつものように様々な声を出そうとしていました。
時には10代の少女のような黄色い声を出そうとしたり、また時には
熟女のような声を出そうと試みていました。
私は懸命に努力しましたが、何の進展も見られないまま数週間が過ぎてしまいました。
ところがまさにその日、そのときに突然何かが起こったのです。
私の声は「ギアがスライド」し、今までとは違う境地に到達したのです。
 
全てが一度に、たった一つのことで、私の声は女性の声に変わったのです。
信じられませんでした。
本当に女性の声を出すことができたのです!
私は色々としゃべってみました。その全てが女性の声に聞こえるのです。
これは本当に信じられないことでした。
不安と熱望の日々の末・・・そう、それはまるで魔法のように女性になったのです!
 
 
 
このことが起こったのは、ちょうど男性であることをやめようとしている時期でした。
そのとき私はメラニーとして働いていましたが、デーブとして妻のいる家に帰っていました。
子どもたちは私のトランスについてはまだ何も知りませんでした。そのため私は毎晩、
仕事が終わるとマニキュアとメイクを落とし、服を着替えてから帰宅していました。そしてその晩も、
家に帰るために私は声を元の「単調な」声に戻し、再びデーブを演じようとしました。
しかし声を元に戻そうとしたとき、それができないことに気がつきました。私はもう一度やってみました
・・・やっぱりできません! 突然自分が本当に変わってしまったことを感じました。
ともかく私の声帯が女性のものに変わってしまったのです。しかしこれは恐ろしいことでした!!!
私は妻に殺されかねません!
 
1時間半ほど声を元に戻そうとしたものの全く無駄で、もう音楽でも聴いているより他にありませんでした。
車が家に着き、私は家の中に入っていきました。そこにはメアリーがいて、私にこう尋ねました。
「今日の調子はどうだった?」 私は「よかったよ」と答えました。しかしそれはデイブの声ではなく、
メラニーの声でした。するとメアリーの顔色がさっと変わりました!
 
「あなたの声、どうしたの?!」驚いたように彼女が聞きました。私は何が起こったか、そしてどうして声が戻らなくなったかを説明しました。彼女は、「朝になって子どもが起きてくる前にどうやって元の声に戻すつもりなの?」と私に詰め寄りました。私は声を元に戻そうとできる限りのことをしてみましたが、全てだめでした。しかし、1時間ほど経つと喉がリラックスし、元の声が戻ってきました。私は助かったのです!!! しかし今度は、せっかく得ることのできた新しい声が出なくなってしまい、私は焦りました。結局、それは予期せぬアクシデントであり、自分がなぜそうなったのか分かりませんでした。その後少しの間、私は新しい声が出せませんでした。しかしすぐに取り戻すことができ、それから夜が明けるまで何度も何度もその声でしゃべる練習をしました。
 
翌朝、起きてまず最初にしたことは新しい声の出し方をもう一度見つけることでした。そしてそれはすぐに見つけることができ、再び自分のものにすることができました。それから数ヶ月が過ぎ、私は自分の一番いいポイントで声を出し続けることができるようになり、それは私の声だけでなく、話し方にも影響を及ぼすようになっていました。さらにそれから4年以上たち、そして性別再判定手術から2年たった今では、私の新しい声は非常に良好だと言えます。そうしようと思えば、今でも私は自分の意志で声の「ギアをスライド」させて両方の声を出すことができます。この声は私のトランジションにおいて、決定的な意味を持っていました。私の女性の声はメラニーとしての自覚を育てる手助けをしてくれました。
 
この記事で、私がこれらをどのようにして行なったのか、そしてあなたがあなた自身の女性の声を見つけるために必要なすべてのステップをお教えしたいと思います。
 
私は自分がたどってきた道を振り返ることで、女性の声を開発するための7つの重要な要素を見いだしました。そのうちの6つは女らしさを強調するものですが、7つめの要素こそが実際に声を女性の声にする「秘訣」です。これらをひとつずつ簡単に述べた後、その詳細について説明します。ここで言う7つの要素とは、「音程(Pitch)」、「共鳴(Resonance)」、「音域(Dynamic Range)」、「発音(Enunciation)」、「語彙(Vocabulary)」、「文法(Grammer)」、そして「身振り(Body Language)」です。 
 
 
音程(Pitch):
 
ほとんどの人は、男性の声と女性の声の一番の違いは音程にあると思っています。しかし実際は、性別による音程の違いはごく小さなものです。事実、両方の性で音程が重複している部分は、ほとんどの人たちにとって何の違和感もなく標準的な音程として認識されるものです。 
 
 
共鳴(Resonance):
 
共鳴こそがこの方法の最大の秘訣です。共鳴はあなたの持つどんな音程をも変調することができます。共鳴は声の音程と音色を調節します。共鳴の章では、誰でも自分の声の特別なポイントを見つけることができ、リアルな女性の声を出す共鳴を開発する簡単なエクササイズを紹介します。 
 
 
音域(Dynamic Range):
 
音域とは人がしゃべっているときに使う一番高い音と一番低い音の差のことです。男性は非常に広い音域を出すことのできる能力を持ってるにも関わらず、きわめて狭い音域しか使っていません。それは単に習慣の問題であり、生理的なものではありません。対照的に、女性は非常に広い音域を使います。それが彼女たちの声にいわゆる「歌声効果」をもたらしています。 
 
 
発音(Enunciation):
 
発音とはどんなアクセントで声を出すかということです。地方にそれぞれの方言があるように、「女性弁」とでも言うべきものが言語や文化を超えて存在しています。ここでは完全に女性的な発音を開発する方法を説明します。 
 
 
語彙(Vocabulary):
 
皆さんもご存じのように、言葉には男言葉と女言葉とがあります。私たちの文化では、ある言葉がほとんど独占的に男性のものとされていたり、別のある言葉が女性のものとされていたりします。これらの内からいくつかをあげ、どうすれば上手に女言葉を話せるかを説明します。 
 
 
文法(Grammer):
 
男であるとか女であるということは力関係に大きな影響を及ぼします。伝えたいことを文章にしようとするとき、言葉の並べ方だけでなく、修飾語や挿入句が話し手の力関係を変化させます。ここでは、それぞれの性が演じる様々な役割に適した「パワーレベル」を用いる方法を見ていきます。 
 
 
身振り(Body Language):
 
身振りとは、話をしているときにどんなふうに体を動かすかということです。実際、それはあなたの声が他の人にとってどんなふうに聞こえるかを左右します。話しているときに適切な身振りを加えることによって、あなたは自分の声をより女らしくすることができます。たとえ電話で話している場合でもです。 
 
 
ここまで7つの要素について、その概要を見てきました。それではここからそれぞれの要素を詳しく説明することにしましょう。 
  
  
 
 
音程(Pitch)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
スザンヌ・プレシェッテ、マーリン・デートリヒ、チェルそしてビー・アーサーたちの身に、そろっていったい何が起こったのでしょうか? 彼女たちは皆とても低い声をしています。実際、彼女たちの声はほとんどの男性よりも低い音程です。しかしながら、今ではもう誰も彼女たちを男性とまちがえることはありません。それどころか、4人のうち少なくとも3人の声はセクシーにさえ聞こえるのです。女性が低い声をしていても、誰も彼女のことを男性的だとは思わないでしょう。むしろ、彼女の声は「ハスキー」だと言われるはずです。
 
彼女たちはどうやってそのような声を得ることができたのでしょうか? その理由は、平均的な男性の声と女性の声の違いがわずか1/2オクターブしかないということにあります。そうです! たったの1/2オクターブです! 
ある人の声が女性の声に聞こえる原因は音程ではなく、共鳴なのです。
 
私たちの声には少なくとも1 1/2オクターブ、そしてほとんどの人は2オクターブかそれ以上の音域があり、男女の音程は、1/2オクターブしか違わない平均的な声ならば、かなりの部分で重複しています。これは女性が出せる高い声のちょうど1/2オクターブが男性には出せず、男性が出せる低い声の1/2オクターブが女性には出せないということを意味しています。
 
私の声は今では私がトレーニングを始めたときよりも、2音か3音ほど高くなっています。しかし耳で聞いたときの印象はまるで違います。それはどれだけ高い声を出すかではなく、どこから声を出すかが全ての違いを生んでいるからなのです。一度正しい場所から声が出せるようになると、音程は全く問題ではありません。さらに嬉しいことに、私たちが見つけた共鳴の秘訣は、おまけに音程を2音か3音ほど上げてくれるのです。(これはさほど重要なことではありませんが、何より体を傷つけることがありません!)
 
それでは、いよいよその共鳴について見てみましょう。 
  
  
 
 
共鳴(Resonance)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
共鳴とは何でしょうか? オーケストラを想像してみてください。バイオリンやトランペット、オーボエが演奏されています。それぞれが同じ音階で演奏されているにもかかわらず、それらはすべて違った音に聞こえます。これは奏でられる音のトーンが様々に「変調」されているからなのです。それぞれの楽器が独自の共鳴を持っています。
 
トランペットでは、共鳴はコイルの中で作り出されています。バイオリンやチェロでは共鳴は胴体で作られます。この胴体は音が振動するための空間であり、音を混じり合わせて複雑な波長と独自のハーモニクスを作り出します。
 
この空間は私たちの喉頭と似ています。男性は大きな喉頭を持っています。のどぼとけが喉頭を大きくし、彼らの声をより低く共鳴させます。女性はそれよりも小さな喉頭を持っており、そのため男性ほど低い共鳴は起きません。よって、男性は女性よりも大きなハーモニクスを持っていることになります。これはMtFのトランスジェンダーにとっては幸運なことです。あなたは私からよりもあなた自身の声からより多く学ぶことができます。あなたはすでにそれを手に入れていて、すでに使っているのです。女性の声を出すためにあなたがしなければならないことは、何かを付け加えることではなく、すでに持っているものを抑えることです。問題なのは、男性がファルセットを出そうとするとき、ハーモニクスをすべて抑えてしまい、わざとらしく高い声になってしまうことです。
 
ここでちょっと実験をしてみましょう。指をのどぼとけのてっぺんに当ててください。次に反対側の手の指を喉の一番下の部分に添えてください。そしてあなたの普通の男性の声を使って、大きな声でしゃべってみてください。しゃべるのと同時に喉の上部と下部がほとんど同じように振動しているのがわかるはずです。
 
指をそのままにして、今度はファルセット(裏声)でしゃべってみてください。喉の上部も下部も、ほとんど振動していないことがわかるでしょう。これから学ぶエクササイズは、喉の上部ではなく、下部のみを振動させて声を出そうとするものです。この擬似的な喉頭の部分カットの方法は、喉頭を半分しか使わないことで、ネイティブの女性の声とほとんど同じ範囲のハーモニクスを残したまま、低いハーモニクスを起こさないようにします。 
  
  
~~~~ エクササイズ ~~~~
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私が発見した女性の声は、普通に話す声よりもさらに後ろから出ているように感じられます。私が女性の声を使うようになってしばらくの後、普段話しているときに使われることのない、女性の声を出すポイントを見つける2つの簡単な方法があることを発見しました。ひとつめの方法はファルセットを使う方法、ふたつめはうがいを使う方法です。
 
A.ファルセット(裏声)
 
あなたの一番高いファルセットを出すことから始めましょう。あなたの声がミッキーマウスの声のように聞こえるようになったらしめたものです。そのまま声がひしゃげないように音程をできるだけ低くしていってください。もし声がひしゃげてしまったら、それはまた喉の前の方から声を出すようになってしまっているせいです。それでは喉頭全体を変調機として使ってしまい、あなたが望むような声は出ません。
 
ファルセットのまま、声を限界まで低くしてください。そこがスポットです。そのときあなたは喉の上部がまったく振動していないことに気づくでしょう。この方法でスポットをつかんだら、今度は次に説明する方法を試してみましょう。両方やってみることが一番の方法です。また、ふたつとも試してみることで、どこから声を出したらいいか互いに参照することができ、より上手に感覚をつかむことができるでしょう。 
 
 
B.うがい
 
うがいをするときのように、「ガラガラガラ」という音を意図的に喉から出してみてください。そのときあなたは無意識的に喉を締め上げています。そして自分の声が、低いファルセットを出しているときや、うがいをしているときと全く同じところで共鳴していることがわかるはずです。しかし、実際にうがいをしているときは、喉の上部と下部の両方が振動しているのが感じられるはずです。
 
うがいの声と一番低いファルセットを出す場所の中間が、あなたが目指している声を出すポイントです。人を笑わせるために声の物まねをする人もいるでしょう。もしあなたがおじいさんやおばあさんの声のモノマネができるのでしたら、おとぎ話にでてくる意地悪な魔女のような声を出してみてください。そのときあなたは目指しているスポットにとても近いポイントで話しているのです。
 
先ほど述べたように、私がこの声を探り当てたのは、全くの偶然でした。そしてその声がクセになって一時的に戻らなくなってしまいました。だからもしあなたがフルタイムで女性として生活していないのなら、このエクササイズを行うときは、場合によっては1時間程度の時間を男性の声に戻す練習に使うことを忘れないでください。
 
あなたがここまでで学んだことは、喉のある部分の筋肉を開発し、他の部分は全く使わないようにする方法です。この方法は耳をピクピク動かしたり、片手でお腹をさすりながらもう一方の手で頭をパタパタたたいたりする類のことと同じ難しいものです。できるようになるまで練習が必要です。よく練習してください。
 
ただ、最初のうちはあまり練習しすぎないようにしてください。一度、あなたがこの全く声が変わってしまう魔法のような体験をしてしまうと、あなたはたぶん二度と元の声に戻りたくなくなるでしょう。しかしこのエクササイズで喉の下部の筋肉を使いすぎると、最初のうちは声がしゃがれてしまいます。これはしばらく休むべきだというあなたの体からのサインです。
 
私がこの声を使い出して最初の1週間は、声がしゃがれ始めるまでの30分くらいしか練習できないことに気づきました。その点では、私は自分の声を休ませるためのカンがよかったのでしょう。このようなエクササイズを行うときは、あせって一度にたくさんの量をこなそうとすると、体を壊すことになります。
 
私の場合、1日中使っていられる声のポイントを完全に開発するのに約6ヶ月かかりました。そして声の大きさと音域を十分に開発するのに、さらに6ヶ月かかりました。しかしこれらは努力と忍耐の賜物です。もし全く使わないのであれば、喉の上部の筋肉は衰えていくでしょう。しかし、新しい声と元の声を使い分けていれば、元の声を失うことはないでしょう。実際、私は女性の声を出すようになってから4年たった今でも、必要とあれば、今でも元の声に戻すことができます。私の場合、年に一度、友人にそれが可能だということを証明する必要があったのです
 
ですから、このエクササイズを行うときは自分の責任で行ってください。私は専門の医師ではありません。あなたの体に何が起こるか、私は正確には言えませんし、何の問題も起こらないとは保証できません。ただ言えるのは、私はこの声を使うようになって4年が過ぎますが、それによって体に何らかの障害を起こすようなことは今までなかったということです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
音程に触れつつ、共鳴についてお話ししてきましたが、これからあなたの声を女性らしくする残りの5つのステップについて説明しましょう。忘れないでほしいのは、共鳴が女性の声を作るのであって、他のこれらの方法はあくまであなたの声を女性らしくするのに有効だということです。 
  
  
 
 
音域(Dynamic Range)
 
 
私が新しく女性の声を使いはじめたとき、喉の筋肉は非常に単調な声を出すようにしか発達していませんでした。実際、十分な音域を獲得するのに私は6ヶ月かかったのです。
 
前にも述べたように、音域とは会話中の最も高い音程と最も低い音程の差です。女性は会話の中で、言いたいことを強調するのにこの音域を使います。それは言葉に様々な「スピン」を加えることで、その言葉に通常の定義以上の特別な意味を与えています。
 
男性は言いたいことを強調するのに違った方法を使います。彼らは狭い音域のトーンの中で声を大きくしたり、優しくしたりします。だから男性は会話しているとき、ある言葉を「パンチ」し、他の言葉を控えめにするでしょう。こうすることで、彼らは話のポイントを作っています。これに対して、女性はほぼ同じ声の大きさのまま、声のトーンを上げたり下げたりします。これは話し方のパターンにおける顕著な違いであり、男性か女性かを聞き手が判断するための重要なキーポイントです。ここで忘れないでほしいのは、男性的な女性は単調なトーンで大きな声を出しており、女性的な男性は一定の声量を保ったまま声のトーンを上げ下げしているということです。
 
あなたが女性と電話で話すとき、彼女のしゃべり方の違いに気がつくはずです。もしあなたが男性で、ある会社に電話をかけて女性の受付係が出たとすると、彼女の声は聞き手を威圧しないような、高く明るい声になるでしょう。彼女が電話の相手を男性と思っているなら、彼女は電話の間中、その音程を保ったままでいることでしょう。でもあなたが女性で、同じ受付係と話したならば、彼女は初めは同じように応えるでしょうが、相手が女性だとわかるとすぐに声のトーンを落とすでしょう。
 
これは男性が世の中、特にビジネスの世界で権力をコントロールしているためです。そのため女性は、生まれつき特に気が強い人はともかくとして、他人を威圧するように自分を見せたいとは思いません。男性は、仕事で他の男性と、自分の脅威となるならば女性とも競争します。しかし女性は、男社会の中で共に協力して戦わなければならないので、彼女たちはグループを組みます。
 
仕事で男同士が互いに競争しているとき、女同士は互いに協力しているのです。このアプローチの方法と立場の違いが、女性に相手の性別によって声のトーンを変化させる原因なのです。同様に、もしその女性が攻撃的で、言いたいことを強調するのに大きな声を出すときは、他の女性は彼女に対して自分が脅威ではないことを示すために、声のトーンを高く保つでしょう。
 
女性が自然に広い音域を使うために、このようなことは女性によく見られます。しかしあなたは男性が、彼の恐れている上司に怒られているとき、その声がいくらか高くなるのにこれまで気づいたことがありますか?
 
音域の持っているもうひとつの側面は「声の階調」にあります。女性が口にする言葉はすべて、普通ひとつとして同じ音程のものはありません。このため、女性の声はまるで「歌を歌っている」ように聞こえます。実際、彼女たちは歌っているのです!
 
何かを企んでいるときは声の階調は低くなり、感情が高まったときには階調は高くなります。それは言葉を追って、まるで波を描くように上下します。声の階調を学ぶための一番の方法は、他の女性が話しているのを聞くことです。しかし声の階調は後天的なものであり、生まれつきのものではありません。音域と同じように、これは生理的なものではなく、トレーニングの結果なのです。
 
それゆえ、音域は男性と女性の違いというよりは、むしろ男らしさと女らしさの違いと言うことができます。次章の内容はこれを学ぶよい手助けとなるでしょう。 
 
 
 
 
発音(Enunciation)
 
 
発音とはどのようなアクセントで言葉を表現するかということです。男性にはやさしい口調よりもきつい口調で話す傾向があります。別の言葉で言えば、男性は急いでできるだけ早く用件を済まそうとするのです。彼らは話すとき、言葉にカドを作り、まるでニンジンを刻むかのように言葉を区切ります。
 
対照的に、女性はやさしい口調を好みます。女性は個々の言葉の意味を、全体の雰囲気から伝わる文脈ほど重要には考えていません。女性は不要な衝突を避けるために、言葉にカドを作りません。女性たちは、声の階調を使って歌うようにしゃべり、そして言葉をオブラートに包んで、背景の文脈をなめらかに表現します。
 
ウーピー・ゴールドバーグの一人芝居のビデオか、映画「Valley Girls」のビデオを借りてくることをお勧めします。どちらの作品も「女性弁」が顕著に表現されています。
 
途中であきらめてやめてしまうのはとても簡単なことです。女らしく話そうとするための当初の障害はとても多く、それぞれのステップには多くの練習と、それまでのしゃべり方の習慣を打破することが必要です。ひとつ身につけることができても、次のレベルに進むためにはそれを忘れなければならないこともあるでしょう。しかし、これらのステップをとばして女性の声を出そうとすれば、発音もトーンも平坦なものになってしまい、それが現代の女性の標準的なしゃべり方にでもならないかぎり、あなたはいつも落ち込むことになってしまうでしょう。
 
先ほど私は「女性弁」について言及しました。しかしこれにはそれ以上の意味があります。実際のところ、女性の声が発音と音域に特徴があるということは世界中のすべての言語とすべての文化について言えることです。言葉や文法が違っても、女性らしいやさしい口調は古今東西の女性に共通する普遍的な言語なのです。
 
それでも、このことは必要以上に誇張されることでもなく、またそれほど厳格なものでもありません。実際はきわめて融通の効くものです。女性は人生を通じてひとつの役割しか演じないわけではありません。母として、妻として、キャリアウーマンとして、友人として、多くの役割を演じます。このように女性はその役割によって、女らしさを失うことなしに様々な「女性弁」を使い分けます。このことは、「女性弁」はひとつのものではなく、様々なものが相互に混ざり合っているということを意味しています。女性はその役割を次々に変えていきますが、常に同じツールを使い続けます。しかしそれはシチュエーションによって様々に変化していくものなのです。
 
私が女性の友人に対して使う声は、仕事で見習いに教えるときの声とは違います。私が男性の友人に対して使う声は、私が妻に対して使う声とは違います。自分をひとつに限定しないように、頭を柔らかくしてしてください。しなやかに、フレキシブルに、様々な役を演じましょう。 
 
 
 
 
語彙(Vocabulary)
 
 
次の言葉について考えてください。「ハラいてぇ」。誰がこれを口にしたのでしょうか。男性?それとも女性? 女性ならこう言うでしょう。「おなかが痛い」もしくは彼女の調子がひどく悪かったならばこう言うかもしれません。「おなかいたぁい・・・」
 
ここで言いたいことのポイントは、ある言葉が男性的とされ、別の言葉が女性的とされるということです。このことは男女間の力関係から来るものです。たとえば何かを欲するとき、男性が普通「want」という表現を使うところを、女性は「would like」と表現します。「want」という言葉は「欠如」を意味し、「必要」というニュアンスを含み、さらに手に入れる権利を暗示しています。これは彼が力関係の能動の側にあることを反映しています。
 
一方、「would like」という表現は単なる好みを述べており、自分の意思を示しているわけではありません。誰も反対する人がいないのなら私が手をつけますよという考えを表明しているのです。これは彼女が力関係の受動の側にあることを反映しています。
 
ドライブスルーのファーストフードの店で、男女の注文の仕方の違いにあなたは気づくはずです。ある男性は“I want a Big Mac (ビッグマックひとつ)”と言うでしょう。でも女性はそんな言い方はしません。“I'd like a salad, please (サラダをお願い)”と言うでしょう。
 
このことに私が気づいたのは、映像監督として映画の仕事に携っていたときでした。この仕事に男性として就いていたとき、私はスタッフに自分が望む(want)ことをただ正確に告げるだけで済みました。しかしある2日間の収録の初日、私は初対面のスタッフたちと働くことになりました。そしてそれは私が初めて女性として映像監督の仕事をした日だったのです。
 
だから私はいつも通りに現場に行き、みんなに正確に自分の望むことを述べました。
 
“I want a 1K mini in that corner as a set light and a half K kicker with a yellow filter as a hair light.”
(「1Kの小さいのをセットを照らすようにあのコーナーに置く。それから0.5Kのやつに黄色のフィルターをかけて髪を照らすように。」)
 
 しかし誰も動きません。わたしは周りを見まわして、どうして誰も動こうとしないのかといぶかりました。業を煮やして私は、「さあ、仕事に取りかかって」と言うと、ようやく彼らは動き出しました。しかし彼らの動きはとてもゆっくりしたものでした。そして彼らに自分の望むことを言えば言うほど彼らの動きは緩慢になり、態度は不真面目になるのでした。
1日が終わってみると、私がその日やろうとしていたことの半分しかできていませんでした。スケジュールは遅れてしまいました。スタッフたちの働きは以前の私の5倍は遅いものでした。家に帰ってそのことについて考えた末、やっとわかりました。彼らは女に望む(want)ことを言われるのを嫌っているのだとしたら・・・?
 
そこで次の日、私はスタッフたちを集めてこう言いました。
 
“Today I'd like to put a little light back there to light up the set and could you rig something to get some yellow light on her hair?”
(「今日は小さいライトをセットを照らすようにそこの後ろに置いてちょうだい。それから彼女の髪に黄色のライトがあたるようにセッティングしてくれる?」)
 
彼らはこれが昨日と同じ人かと互いに顔を見合わせていました。それからスタッフのリーダーが、「さあ、仕事に取りかかろう」と言うと、彼らは前日の2倍のスピードで働き出しました。
そして仕事が終わる時間になると、私たちはスケジュールの遅れを全て取り戻していました。ともかく私が彼らに「want」と言うことで自分を彼らよりも上に置くことになり、そのことが彼らを去勢されたように無気力にしてしまったのです。しかし「would like」という表現を使うことで、彼らは私のために仕事をしてくれたのです。もちろん、それでも私が男性の映像監督だったころの半分くらいのスピードではあったのですが。でも少なくとも前の日の2倍くらいではありました。だから、あなたが女性として部下を働かせようとするときは、男性だったときと同じような成果は期待してはいけません。しかし、たとえあなたが自身の望む(want)ことを自分で正確に理解していたとしても「want」と言わず、「would like」という表現を使うことでその損害を最小限にすることができるでしょう。
 
ところで、男性のしゃべり方でもうひとつあげられることは、発音が正確ではないということです。彼らはこんなふうに話すでしょう。“I hafta gota the store. (店に行かなきゃならねえんだ)” しかし「hafta」や「gota」なんて辞書には載っていません。女性ならこう言うでしょう。“I have to go to the store. (お店に行かなければいけないんです)”さらには、“I ought to (行かないと)”と言うかもしれません。
 
「have to」は必要から来ており、「ought to」は責任から来ています。これはつまることろ義理と義務の違いであり、私たちの社会における力関係の実例です。次ではこれらの力を持った言葉について見ていきましょう。あなたが女性らしくなりたいのであれば、これらの言葉を極力避けなければなりません。 
 
 
 
 
文法(Grammer)
 
 
文法とは文の構造のことです。力関係による考え方を続けると、男性は私たちの社会では能動的であり、女性は受動的であることになっています。そして女性には気分はあっても、意見は持ってないことになっています。男性は普通何かを「するぞ」と言うことが多いですが、女性は何かを「しようかな」と言うことが多いでしょう。
 
私は今、「男性」と「女性」という言葉を使いました。それが私たちの社会では普通だからです。しかし本当に重要なのは「男らしさ」と「女らしさ」の違いなのです。これは「敵対」か「協力」かの問題です。この記事の目的はいかにステレオタイプを壊すかではなく、いかにステレオタイプを演じるかです。だまされたと思って一度これらを身につけてください。あなたはこれらを壊したがっている人たちの気持ちがよくわかるはずです!
 
しかし最初のうちはとことんやってみるべきで、その後で適当なところに戻してください。忘れないでほしいのですが、これら全てを行っている女性はめったにいません。しかしこれらの多くを様々に組み合わせて正しく使うことで、あなたは今よりもずっと女らしく話すことができるようになるでしょう。 
  
  
 
 
身振り(Body Language)
 
 
最後の要素である身振りについて見てみましょう。これは話しているときにどんなふうに体を動かすかという、その方法です。身振りは声をサポートし、声は身振りをサポートします。女性の声が歌であるならば、その身振りはダンスと言えます。歌とダンスを同時に行うことによって、2つはハーモニーを生み出します。
 
とても興味深いことに、声と身振りは互いに強く影響しあいます。立ったまま全く動かずに何かしゃべってみてください。その後で大きくジェスチャーをつけてしゃべってみてください。ただ動いたというだけで、同じあなたの声なのに違って聞こえるはずです。
 
よくトランスジェンダーの人たちは電話を恐れるあまり体を硬直させ、小さくてボソボソした声になってしまいます。しかし頭の中でリズムをつけて体を動かせば、声はそれについてくるはずです。そうすれば電話でもあなたの声はもっと女性らしく、生き生きとしたものになるでしょう。 
 
 
PR
お名前
タイトル
メール(非公開)
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集に必要です
管理人のみ閲覧

この記事へのトラックバック

トラックバックURL:

最新コメント

Re:無題[11/11こめはな]
無題[11/05shiro。]

プロフィール

HN:こめはな
HP:komehana++
性別:男性
自己紹介:女声練習中。

ブログ内検索

バーコード

カウンター

<< Back  | HOME Next >>
Copyright ©  -- 女声を頭で考える。 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by もずねこ / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]